【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】11話
1節
とんでもない乱取りが終わってから、疲れをとるため、それぞれ休息をとることになった。
その間、炎龍とクラインは結界を張り直す作業へ。
ウェンディはその他いろいろな修繕の指示、手伝い。
各個人練習に入る前にそれぞれ行動していた。
ぱんだは気持ちよさそうにスヤスヤ部屋で寝ているようだ。
まとまとばってんが舞台の横に座って話をしている。
まとま「異世界転移してから怒涛のイベントづくめだねぇ〜。ゆっくりする時間も、なかなかとれないね。」
ばってん「ホントにそれだよ、とりあえず、自分のスキル能力とか使える魔法ちゃんと把握する暇もない感じだもんね。」
まとま「そうそう、ちゃんとここら辺でしっかりと確認して、今後、スキル伸ばすか魔法を伸ばすか、とかどうするか決めていかないとねー。」
ばってん「ところで乱取りの時、バッティングマシーンをクラフトで出して炎の魔力注入してファイヤーボール玉にしてたでしょ?魔力上がった?!」
まとま「あ!それね!魔法使えないの実はキバちゃんが関係してたんだよね〜。」
2人はまとまの肩に乗っていたキバをチラリと見た、頭をかきながらふよふよ飛んで2人の前におりた。
キバはコホンと咳払いをひとつついて「まとまには簡単に話したが、オレが生まれたこと、まとまが魔法が使えなかったことを話そう。
オレはクライン達が言っていた闇の者なのだ、遥か昔、魔物や魔族などと呼ばれていたが長い間、この地上にいなかったことにより、今や架空の存在のようになってしまっていたのだ。」
ばってん「じゃ、キバくんは魔族になの?」
キバ「そうなるな。って、キバくんってなんだ、呼ぶならキバ様だっ!」
まとま「わたしはキバちゃんって呼んでる」
キバ「…まぁ、なんでもいい。生まれる前だが深層意識の中で自分の使命と言うものはあったのだ」
ばってん「あった…過去形なんだ」
キバ「そう、まとまと契約することにより存在意義が変わったのだ。」
まとま「そう!わたしとキバちゃんはそう言う仲なのだよ」
エヘンっと胸を張っている。
ばってん「…魔族と契約ってどういうことなのかわかってるのかな、まぁ、詳しいことは自分も知らないけど、ここでしっかり知っておいた方がいいよね。でも、元々の使命ってなんだったの?」
キバ「あの場所にオレが産み落とされたのにも意味があったんだよ。オレのスキルは吸収って知ってるな。そもそも魔力に特化してなかったんだよ。ようはなんでもだ吸収するスキル、なんでもな。」
まとまが「ふぇ?」とばってんを見る。
ばってん「…と、言うことは、、、。」
と、顔をこわばらせる。
キバ「やはりばってんは察しがいいな。そう、そう生み落とされたのはあの湖の近く。湖周辺の全てのモノを吸収し尽くし、第一目標として、龍神である水神の水龍をも取り込んで大いなる力を手に入れるハズだったのだ。」
まとまは「はぇー」とキバを見る。
ばってん「けど、生まれた瞬間にまとまに見つかり確保されて…。まとまぁーことの重大さわかってる?!しかも、とんでもない子を手名付けてしまったんだよ?」
キバ「ばってんこそ、とんでもない子って!言い方よ!!いろいろ突っ込みどころありだぞ?!」
といいつ顔をしかめるが悪くはないという複雑な表情を浮かべた。
2節
まとま「私に拾われてポッケの中へ、そしてキバちゃんは異空間ポッケの中にあるもの全部平らげて、なにもなくなったから、漂っていた私の魔力を吸収していたってことね。ポッケの中を区分けしてて良かったー本当に全部なくなるとこだったー。キバちゃんのポッケ空間は玉以外なにもなくなってて、今までせっせとゲットしまくった大量の素材全部だよ?!びっくりしたよ!」
キバ「でも、俺様を取り込むことによってリーベの脅威から免れて、まとまの味方になってんだから結果オーライでないかい?」
ばってん「そこへん本当にまとまは強運だよねぇ〜ここってとこの引きの強さwでも、まとまの魔力を全部吸い尽くすこともできたんだよね?」
キバ「そうだ、元々邪悪な者の俺様はそうするはずだった…が、ポッケにいて状況把握後、まとまの魔力を吸い尽くし活動停止まで追い込んで支配し、まとまごと吸収する手もあった。しかし、まとまが行動不能になってしまうとポッケから永遠に出れなくなる可能性もあった。だから、しばらく様子を見たのだが、まとまの魔力を吸収するとともにまとまが見たものや思いや行動の情報が流れてくるのだ、次第にまとまの感性に近い状態になってしまったのだろうと思う。そして、コイツといれば楽しいことがたくさん味わえるかもしれないと言う思考も生まれ、次第に支配ではなく共存という形になったのだ。まとまがまとまでなくなった時点で面白くないので契約という形になったのだ。」
ばってん「はぁ、かなり綱渡りというかやばいギリギリの線を渡ってたんじゃん。」
まとま「チカラが欲しいか?って、あの時が契約の時だったのね。」
ばってん「リーベ戦でボーっとしてたときね、凄かったねー、もう、いきなり全滅して終わると思ったよ、まだ、異世界来たばかりなのにーって」
キバが照れ臭そうに頭をかく。
まとま「でも、吸収の力って落ちてたりするの?最初に出てきた時はそこにある膨大な魔力全て吸ってたのに、今回のバーストフレア玉は全て吸いきれてなかったし。」
ばってん「あ、それは思った!キバくんの魔力吸収があるから、かなり安心してたのに。」
キバ「・・・。それにも理由があるんだよ、覚醒直後はバースディタイムと言って、通常よりも能力値は桁違いに大きいんだよ、だから予定ではそのチカラで水神をも吸い尽くすつもりだったんだ。まぁ、リーベの桁違いの魔法にバーストフレア、色んな防御魔法をすべていただいた。それにリーベがあの時点で大人しく引き下がったのは、リーベに対してピンポイントで魔力吸収を行っていたからだ。俺様のスキルでゴリゴリに魔力を吸われていたのだから、リーベ本人は吸収されるかと焦っただろうよ。」
と、イッヒッヒッヒと意地悪く笑った。
ばってん「あー、そこはすごい今の聞いて腑に落ちたー、リーベって魔族の人、ウェンディさんクラインさん含むメンバーを前に余裕で勝つつもりでいったぽいから。引くのが早すぎて拍子抜けしたんだよね。てか、キバくんいなかった全滅パターンだったやつよね。」
キバ「だろ?!もっと褒めていいぞ?」
ばってん「・・・。」
まとま「キバちゃんありがと!」
キバは満足そうにふんぞり返った。
「興味深い面白そうな話をしておるな〜んー、キバさまよぉ〜妾の名前も出てきてのぅ」とウェンディがキバの後ろからいきなり現れた。
キバ「いつからそこに?!」
3人ともがワタワタとアタフタした。
3節
そのアタフタする3人の姿を見てウェンディが愉快そうに笑った。
ウェンディ「あの時の話はゆっくり詳しくどこかで聞かねばと思っておったが、そんな思惑があったとはなぁ…。」
まとま「あ、いや、その…。」
ばってん「これは気まずいね。」
キバ「聞いてしまったならしょうがない。今は違うとはいえ、そうであったことは変えられない。すまない。」
ウェンディ「キバが謝ることはない、そういう様に仕組んだ者がおるのだ。確かに取り込まれるうんぬんは穏やかではないが、こういうのは結果オーライじゃ、今のキバの言葉はもう我々龍神よりも人間に近い感覚じゃ。逆にこちらが礼を言わねばならぬ。ありがとう。」
キバは照れ臭そうに頭を掻き、ふんぞり返って「ウェンディ、いや水神公認の偉いヤツだぞ!」と自慢そうに言った。
ばってん「すぐ調子にのる。」
まとま「キバちゃん良かったね!」
ウェンディ「そうそう、ここに来たのはまとまに水飲み場の修繕を頼もうと思ってな。飲み場をクラフトでどうにかならんかと、飲み場もそうなのだが、ここの水源の水も爆発の影響で吹き飛んでしまったらしいのだ、ここでは水はなかなかすぐに手に入れにくくてな、そこでまとまが水の神殿の水をたっぷりと持っていたことを思い出してもらおうと頼みにきたのじゃ!ばってんとキバも手伝い頼むぞ!」
まとま「もともとウェンディさんに頂いたものなので!では、いってきます!」
ばってん・キバ「了解!」
と3人が敬礼をして水飲み場に向かって駆け出す。
最後について行くキバにむかってウェンディが、言う。
ウェンディ「先程も言ったがおまえが悪いわけではない、この状況にむしろ感謝している。ありがとう感謝しておるぞ。」
キバ「その言葉こちらこそ有難い。ありがとう!行ってくる!」
ウェンディ「ああ、頼む!」
と言いながら空をあおぎ青空にぽそっと呟く。
(まとまの影響か、魔族でありながら、そこらの邪な人間よりもまともな人間らしいわ…。)
水飲み場に到着した3人
ばってん「あららー本当にボロボロだ」
まとま「これは作り直すより新しくした方が早いね。」
キバ「んじゃ、吸収してしまって良いか?」
ばってん「ちょ、ちょっと待って!あそこ誰か倒れてる!!」
爆風に巻き込まれたのか顔から全身泥だらけで衣服もボロボロでうつ伏せに倒れ込んでいる。
4節
つづく