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【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】1話

1話 異世界転移の儀

1話 1節

初夏の様な暖かい日差しに眩しそうに空を見上げる小柄な少女、まとま。

校庭の渡り廊下で

気持ち良さそうにグゥーと伸びをした。今日はすっごくいい感じ。

特別な日でもあるし。

「今日は行けそうな気がする。」

思わず、言葉が口にでた。

まとまより少し背の高い幼なじみのばってんが

「行けそうな気がする?声に出てるぞっ!!wまとまっ!」

と、ニカっと笑いながらまとまの背中に抱きつく。

「ちょっ!ばってん!?声出てた?!恥ずかしいんだけど、そういうのは聞こえてても聞いてないフリしてよ!」

焦って顔を真っ赤にしながら、絵に描いたようなアタフタをひととおりした後、

ふてくされて、膨れるまとま。

ばってんはその様子をじーっと眺めて「ホントにまとまと一緒にいると退屈しないね」と、言う。

ちょっと怒った風なまとまが「もぉ〜!知らないっ!!」

と言ってさらに、ぶーっと頬を膨らませる。

ばってんは「もちろん、いい意味でしかないよ」

と、笑う。

ここのところ色々考えすぎて、モヤモヤしていたばってんだったが

そのモヤモヤがまとまと話していると、ふっと消えた気がした。

そして、小さくいつもありがとうと呟く。

そんな感じで

教室までの廊下を仲良く歩く2人。

あっと気がついたように、ばってんが言う。

「そうだ、今日もするんでしょ?アレ。」

まとまの顔がいつにもまして明るくなる。

「もちろん!しかも今日は特別な日なんだよ!!

みんな教室で待ってくれてるからいそがなきゃ!!」

と、教室に向かって走りだす、まとま。

追いかけるでもなく、そのままのペースで歩き、

まとまの後ろ姿を眺めながらゆっくりのんびり歩くばってん。

「特別な日?まとまはホントにおもしろカワイイな♪」

 

1話 2

勢いよく扉が開きまとまが教室に飛びこんでくる!「おまたせっ!!」

異世界研究部員の3人がまとまを見て、おのおのに声をかける。

ちょっと驚かせないでよ!ホントにおまたせな!先輩遅いですよっ!!今日も、もちろんするんでしょ?そろそろ準備しないとヤバいんじゃない?!間に合いませんよっ!

「さぁ!今日もやるよっ!今日こそ成功させよう!異世界転移の儀っ!!」

さて、ここで今からまとまくん達の異世界転移研究部の部員がこれから行う儀式の説明をしよう!!

部室の奥から出てきた古い書物によれば、4のつくものがキーとなっており、444秒に四角形の教室の4方向の端に1人ずつ立ち、そこから教室の真ん中に向けて腕を差し出して4歩で4人の手のひらを4方向から近づけ、真ん中で4人の手のひらで四角の空間を作る。

もちろん、本気で異世界に行きたいっ!と願うことはいうまでもない。

成功した瞬間にその空間に異世界への転移の扉が開かれると言う。

まとまは、今までもう何回失敗したか数え切れないが古い書物と自分の熱意でここまで付き合ってくれる部員に感謝している。(部活動の一環ではあるのだが)

特別な日と言っていたのは、本日、44日なのである。

そして本人は数えられないくらいと言ったが、

なにを隠そう今回が444回目のチャレンジである。

さて、いよいよ、いろんな条件が整ったなか。

「んじゃ、いつも通り逆算して5秒前から54321でスタートね!!」

ニッと笑みをうかべて、ばってんが言う。

4人が了解とばかりに静かに頷く。

まとまの顔がキッと凛々しくなる。

ふぅーと深呼吸してその時を待つ。

行くよ!

5 4 3 2 1 ハイッ!!

4人が息ぴったりに、いち!にっ!さんっ!しっ!!と同じ歩幅で前に進み!

ハイッと同時に手を突き出す!!

今までで1番タイミングバッチリ!!

4人がそう思った瞬間!!!!

手のひらに風を感じた。

 

「「「「「・・・!?」」」」」

 

みなが同時に息をのんだ。

小さな風を巻き起こしている真ん中に

黒色の球体なのか、空間に穴が空いているのか、わからないがそこにそれはあった。

まとまが前のめりになった時、手のひらがその漆黒に触れた瞬間っ!まとまの姿が消えた!!

他の2人は地べたにヘタっと座り込む、1人はそのまま固まる。

「マジで成功させちゃったのか?!まとまが消えた?!」

目を見開いて驚いた、ばってんが叫ぶと同時に椅子から飛び上がり、

手元にあった自分の鞄をとっさに掴み、漆黒のそれに手を伸ばす!

ばってんは瞬時に思考をめぐらす。

その黒いヤツの出現時間はどのくらい?!自分が触れられるのか?!

間に合えっ!!

と、ばってんがそれを掴む。

(まとまっ!ひとりで勝手にいってんじゃねー!!)

 

1話 3節

もしかして、成功っ!!!

やったーーー!!!と思い

ガッツポーズをとった瞬間

まとまは特別な空間にいた。

ここは!!

きっとココは転移中の空間のはず

今まで何千回と妄想していた場所!

この場所のできっと転移後のスキルとか決定される大事な場所!!

絶対欠かせないスキルは〜

声に出さずに思っただけなのだが。

スキル・クラフトを取得しました。

と、ナビっぽい声が聞こえた。

おおお!

チャンスチャンスチャンス!!!

ここで好きなスキルをっ!!!

1秒も無駄にできない!

とばかりにスキルの取得に必死になるまとまさんなのでした。

 

まとまを追いかけ、とっさに飛び込んでしまった、ばってん。

特別な空間にいることは、わかったが、

これ、ちゃんとまとまと同じ異世界行くんよな?

んんん、まさかそれぞれの違う世界に行くなら飛び込んだ意味ないんだけど、

しかも、これって元の世界ってもどれんの?とか冷静に思考を巡らしつつ

この空間ってなんだっけ?

まとまなんか言ってたな

なんか色々考えるの面倒だけど

大事なんだっけかな?。

ま、なるようになるか。

ん、なんか声聞こえるな。

先程の思考が反映されているのか。

ナビの声が響く

取得?

んー、あ、おっ、面白そうじゃんと、

ばってんさんもスキルを取得するのであった。

 

1話 4節

 

真っ暗な世界から一気に白い世界へ!

眩しいっ!!と目をギュッと固くつむって

恐る恐るゆっくり目を開けると、

緑豊かな場所に立っている。

ん?異世界?!異世界なのか!!

見えているものがいつもと感じが違うのはわかるが、

異世界なのか?思いつつ。

ステータスとか出てくれてたらわからやすいんだけどなぁ〜」

【ステータスを表示します。】

その言葉に反応するようにステータスがピロンとでる。

「ステータスでたぁぁああ!!

異世界確定ぃいいい!!!」

そして、ステータス上の自分の姿を確認。

「イメージ通ぉぉおおり!!」

「そして、異世界にきたぁぁあああ!!」  

と、もう大興奮のまとまさんなのであった!

んー。もっと色々考えとくべきだったなぁ〜ま、

いっかなんとかなるっしょ。

と、切り替えの早いばってんさん

と、足元が明るくなるのがわかり地面が現れたので、スッと降り立つ。

ほう〜。

異世界、だよな。と思う。

前の方からまとまの声が聞こえる。

(異世界にきたぁぁああ!!)

まとまだな、かなり興奮状態w

さて、どうするかな〜と思いつつ。

なにやらバタバタしてるまとまを

いつも教室で見ているかのように優しい目で眺める。

異世界に来てもホント面白なぁ

しばらく、まとまをここから眺めるか。

ばってんさんの口元はニンマリ。

 

2話へとつづく

 

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