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【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】8話

【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】8

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大変な脅威が一時去ったが

これからが大変である。

闇の者がいつ襲来するかわからなくなった状況。

しかも、撃退したのは闇の者のキバの力で対応策が極端に少ない。

今のところリーベに狙われているのはまとまとキバである。

1番の心配は闇の者であるキバが仲間でいてくれるのか?どう思って考えているのだが。

キバ曰くまとまとは一心同体らしいのでそこらへんの心配はないらしい。

そしてキバによるとリーベのスキルの天敵はキバのスキルのようでキバのスキルは圧倒的に有利らしい。

と言うかキバのスキルが超チート級なだけの話しである。

クライン一行も、とりあえず、水の神殿から街に戻ることになった。

水神も深刻な顔でなにか考えているようで「あの強大なチカラはなんとなしなければならんな、内輪で揉めている場合ではないな、他の龍神達の力を合わせねばならぬ。」

と、なんだかすごい事を言っていた。

龍神は水神・炎神・雷神・風神といるらしい。そしてあまり仲が良い感じでもないようだ。

名残惜しそうな水神に見送られクライン一行は神殿から出るのではあった。

街へ戻って一行は疲れた体に栄養を与えるためご飯を食べている。

料理は焼いたものが多いが塩にスパイス、ハーブが効いていてどれも美味しい。

まとまとみやびがガツガツと肉を口へ放り込みうまうまとがっついている。

食事中の話は水の神殿の入り方の話になったのだが、水神の気まぐれで本来使われないショートカットの道で呼ばれたのであった、本来ならば湖のほとりにある入り口から入りダンジョンをへて水の神殿に入るようだ。

クラインは神殿に何度も訪れているのでショートカットの方法を知っていたので自分を待つように言っていたのだが、まさか水神の気まぐれで、すでに神殿にいるなどと思っていなかったので探すのに苦労にしたとのこと。

そして今後どうするかの話なのだが、クラインはりーべとの戦闘で更なる強さを手に入れレベルアップするためお師匠様のところへ行って修行しようと思っているようである。

リーベは魔王の娘と言っていた。

と言うことはもちろん魔王が存在するのだ架空の存在だと思われていたものが実際いることがわかってしまった。

もちろんリーベよりも強く脅威であることには変わりない。

そんな話をしているところに黒髪に細身の体に黒の長袖に黒いパンツの黒装束を身に纏った酔っ払いの男がクラインの肩に手をかけて絡んできた。

「だんちょぉぉぉぉお!団長ばかりズルいですよぉ〜可愛い女の子と一緒に飲んでぇ〜」

クラインがやれやれと言う感じで話す。

「ぱんだぁー!今日のクエストの話をしてたんだよ、ちょうどいいところにきたな、次のクエストなんだがお前のスキルが必要なんだ!一緒に行こう頼むぞ!!」

ぱんだがゲッと言う顔をして逃げようとするがクラインが首根っこを掴んで言う。

「ワレの酒が飲めんというのか〜?!」

ぱんだが泣きながら言う「団長のクエストいつもはとりあえずハードでしんどくて過酷で体育会系でイヤなんですぅ〜!!」

クライン「てぇめー!酔ってるとはいえ本人を目の前にしてイヤだとか言ったなぁ〜!このやろー!」

2

ギルドに併設されたお食事どころで、ご飯や酒盛りと好き放題にやっているのだがほとんどギルドのメンバーなのか和気あいあいである。

ばってんがナイフで一口サイズに切った肉をモグモグしながら思いふけている、クライン一緒に行動するとやはり大変な思いをするのかそうなのかとぱんだを観て思うのであった。

そしてまとまと自分は割とチートスキルのはずだがギリギリの闘いばかりで余裕のある戦闘をしていないこともなんだかモヤモヤしている。

ロープレならゲーム開始直後にボス直属の四天王的な敵にいきなり遭遇する強制イベントをさせられた感じである。

幸い全滅などしなかったものの。

きっとこの流れで半強制的にクラインについて行くことになりしばらくはドタバタするのだろうと思っていた。

ばってんは兄弟が多いのでそういうノリはわかっており自分の意でなくともすんなり、そういう流れに乗るすべを知っている感じである、そしてそれをまた良しと思っていたりする。

ぱんだを締めたクラインがばってんに向かって言う。

「ばってん、お前たちはどうする?」

ばってんが面食らった様子でてっきりついて来いって言われるものだと思っていたのでちょっとビックリした表情で

「えっ?!」となる。

クライン「もちろんまとまが狙われている以上一緒にいた方がいいに決まっているがどうするかはお前たちで決めていい。キバがいればなんとかなるだろうしな。」

テーブルに突っ伏していたぱんだがバッと起き上がって叫ぶように言う。

「ばってんちゃん!!まとまちゃん!!一緒に行こうよ!!やだよ団長と2人だけのクエストなんて!ただの拷問だよ!!」

クラインがぱんだのむらぐらを掴んで「いい度胸だ!」

ぱんだがひぃぃぃと声を上げながら絞め上げられながら、泣く?ん?ちょっと嬉しそうにみえないでもない。

みやびも「ばってんさんとまとまさんが行くなら僕も、一緒です!!」

とバンッとテーブルを叩いて真っ赤な顔で立ち上がる。

フンっと仁王立ちしてボーッとしているかなり酔っているようである。

ばってんはしばらく考えて言う。

「そのお師匠様のいる場所はどこで、どんな方なんです?自分たちも行って修行的なことをして強くなれるんでしょうか?」

クラインがあっそうかと言う顔で言う。

「すまん、知らないだったな、我の師は炎の竜・炎龍なんだよ。で

場所は火龍火山と言う名の通りの熱々の活動火山だ!道場もしていて強くなりたいヤツが集まり切磋琢磨している!!

武道もだが炎の魔法では右に出るものはおらず、誰も勝てん。我も勝ったことと言うか優位に立った事もない。めちゃつよだぞ!」と

クラインが自分のことのように自慢げに笑う。

実際に炎龍の神殿に入れるには炎の加護がないと熱さでやられてしまうらしい。

火の加護や水の加護でも大きな加護でないと焼けてしまうらしいのだ。

クラインとばってんの横にスッと来てセクシーな女性が話しかける。

長い青い髪を左右に束ね青い目でぱんだとクラインを流し目しながら

「ばってん達は火龍火山には行かぬのか?!妾も同行しようかと思っておったのじゃが」

その話し方と声は?!と一同が驚く。

 

3

クラインが驚きまさかと言う表情で

「その声に話し方、まさか水神か?!」

「さすがクラインわかるのかぁ〜?嬉しいのう〜」と人化した水神がビール片手にクラインによりかかる。

「しかも結構酔ってるな?!と言うか、神殿からは離れられないんじゃ?」

「色々と考えたのじゃ!分身体をおいてきたぞっ!うまくいったぞ!妾も炎龍のところに一緒に行くぞ!」

ぱんだがぐぃっと近づいて「セクシーなおねぇーしゃんと一緒に行けるなんてぱんだしあわしぇれす!!おねぇしゃんお名前は?」としっかり酔っ払っている。

「妾の名はそうだな、ウェンディと呼ぶがいい!妾の水の加護を最大にかけるから火山でも普通に動けるぞ!と、言うことでばってん!まとまにみやびも一緒にいくぞ!いいな!!」

ばってんは行くと言ってはいなかったが

なんだか嬉しくて「はい!行きましょう!!」と声を弾ませる。

クラインが立ち上がりぱんだと肩を組んで「よし!次のクエストは火龍火山に決まりだっ!今日は飲むぞー!!」

そばにいたウェンディとまとまとみやびが「「おー!!」」とてばってんを見て腕を挙げた。

わいのわいのと宴は続き、夜は更けていく。

次の日

清々しい快晴である。

街の入り口に火龍火山クエストのメンバーが並ぶ。クライン、ぱんだ、ウェンディ、まとま(肩の上にキバが乗っている)、ばってん、みやびである。

元気いっぱいのクライン「よぉしっ!!準備はいいな!みんな行くぞっ!ぱんだ!出番だ!!」

ぱんだがノロノロと重たそうな体を引きずり「俺より全然飲んでるのに二日酔い全くナシってズルすぎるっすぅ」

「ぱんだぁ〜修行が足らんぞ!キリキリ動けぇ!!」

ぱんだの能力は空間系のスキルであり、

空間移動や浮遊を使う。

長距離の空間移動はできないので、絨毯を足場にして魔法力で浮かせ火龍火山までみんなを乗せて移動するまさに魔法の絨毯を移動作戦である。

そして副スキルはパンダになる。である。パンダになったら女の子にモテるだからだそうでこのスキルの説明はおいおいと言うことで。

ぱんだが異空間ポケットからいそいそと大きな絨毯を取り出す。

「はぁーい!準備オッケーですよぉ〜みなさん絨毯の上に乗ってくださぁーい!」

皆が乗ったのを確認してスキル魔法の絨毯っ!と唱える。

本当は浮遊なのだが雰囲気が大切らしく名前を変更したらしい。

ふわっと空中に上がり

ほどよいスピードで空を駆ける!

天気もいいし気持ちがいい。

皆が景色を見たりほっこりしていたのだが、クラインと水神ウェンディが遅いぞ!だの、スピードが足りぬ!だの、もっとスピードをだせと言い出した。

4

ぱんだは平然とした顔のまま「安全運転ですっ!!そして安定した飛行を行うため魔法力温存です!!!」といいスピードはそのままで、断固として変える雰囲気はない。

クラインがつまらなさそうに

「酒を飲まんかったら、お前は真面目か!!真面目すぎるわっ!!」言い捨てた。

ウェンディがなにか閃いたようにクラインの肩をたたき、なにやら悪い顔でごにょごにょと話している。

なにやら良からぬことを考えているのだけはわかるのである。

クラインとウェンディの顔がニヤリとすごく悪い顔になる。

クラインが立ち上がり絨毯の後方に移動し「ワレがスピードアップの推進力を生み出してやろう!!ウェンディ!準備を!」

ニヤニヤ顔のウェンディが「任せろ!みやびこういうシールドの使い方も参考にするがいいぞ?ウォーターシールド!!」と唱えた。

絨毯を包み込むように円形のウォーターシールドが出現した、そしてニッと笑うと胸の前で両手を引っ張る仕草をするとウォーターシールドの形がラグビーボールのような形になっていく。

みやひがほぉーと眺める。

悪い予感しかしないぱんだが叫ぶ

「な、なにをしようとしてるんッスか?!やめて、やめてください!!」

ウェンディがウォーターシールドの形を操作し前後の先端がさらに細くなっていく。

最後の一押しで先頭にいるぱんだの顔だけがポンッと出た。

焦ったぱんだがなにかを言おうとしているが顔だけシールドの外なので

んーんーと何を言っているかわからない、というか聞こえない。

ばってんが黙ったままスッと

近くにいるまとまとみやびに触れて重加速耐性2倍付与スキルを発動する。

クラインが詠唱をはじめて叫ぶ

「みんな絨毯につかまれ!スピードアップするぞっ!!バーストゥッ!フレアァー!!」

クラインがエンジンとなりバーストフレアの推進力で凄い勢いで爆走する魔法の絨毯!!!

凄いGがかかりぱんだの顔がジェットコースター降下状態になって

「あばばばばばはあばばば!」

ともがいている。

そうだろうなぁとさらにG干渉二分の一と三半規管強化2倍のスキルを使っていたばってん。

自分では思いもつかない想像を越えてくるクラインの行動に驚いている自分が急におかしくて、声を出して笑いだし止まらなくなってしまっている。

「あっはっはっは!」とこんなに声を出して笑っている自分がおかしくてまた笑いが止まらなくなる、笑いが止まらないばってんを見てまとまが珍しいなと見ていると吊られて同じように笑い出し、それを見ていたみやびが同じように笑いだす。

バカ笑いする3人をクラインが見て、なんだ?と不思議そうに見ていたが「クッハッハッハ!楽しいなら良しっ!」と腰に手を置いて胸を張って笑う。

ウェンディがそれを微笑ましくみてふふっと笑う。

空中を爆走する魔法の絨毯から笑い声とぱんだの悲鳴が聞こえる。

半日かけての空中散歩の旅のハズが、火龍火山の姿がもう見えはじめた。

9話へつづく




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