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【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】7話

【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】7話

1

ただならぬ2人の様子にばってんが「やばい感じのものがくる?!」

まとま「モンスター?!」

みやびも水神が睨む空洞の上部の入り口を見てゴクリと唾を飲む。

明らかにそこから何者かが降りてきているのがわかる気配。

禍々しい気を纏ったものが現れた。

スーッと降りてくるのかと思っていたら、ピタッと止まり、空中に浮いたままの状態でこちらを見下ろしている。

ゾンビを思わせるような色の肌の色に顔に大きなキズがあり小柄だが闇の魔力を体に纏いとりあえず強烈な威圧感が漂う。

周りを見渡しながらそのものは言う。

「魔の物が生まれたのにどうなっている、森もこの湖もまだそのままではないか、水神までもまだ生け贄になっていないとは。先程、闇の気配を感じでここにきたのだが。」

その魔の者がぐるりと人を見渡しまとまを見て

「そこの赤いのから微かに闇の気配を感じるななんだお前は?」

いきなり自分に視線が来て驚いたまとまが言う「私はまとま!冒険者!あなたは誰?!闇の気配ってなに?!」

まとまの頭の中で音と声がした。

(ぽーん!魔力回復によりナビゲートスキル再開しました。闇の気配を発するモノはポケットに収納されている黒い球体が発していると思われます。そしてその球体が主の魔力を吸収しています。闇の気配は先程のスキル・ゲットを使用した時にポケットを開いた時に気配が外に漏れたものだと思われます。)

ナビのおかげで瞬時に不思議に思っていたすべてのことが腑に落ちた。

そして、その黒い球体が今回の問題の根源であることも。

ポケットの中の球体を確認した瞬間にナビとまた違う声が聞こえる。

球体から「チカラが欲しいか?」

一瞬のたくさんの情報量にまとまが固まる。

クライン・水神が相手の出方を見ているようですぐに戦闘態勢に入れるように様子を見ている。

まとまの

意外な問いかけに魔の者が声を発する。

「アッハッハ!!ワタシがダレかだと、初めての問いだな、特別に教えてやろう〜魔王の娘、我が名はリーベ!!このへんは新しい魔の者の生け贄だが退屈だ!遊んでやろう!!さぁ!神殿ごと潰してやろうか?グラビティカーペット!!」

リーベが手をかざしてその手を横にスライドさせると薄く黒い透明の絨毯のような魔法が大きく広がりりーべ以外の全員を押し付ける!!

2

クラインが叫ぶ「自己紹介後すぐに攻撃かよ?!せっかちなヤツだ!!」

リーベがクラインの方を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

クラインはリーベを睨みつけ

「クッ、にゃろ〜なめやがって」

水神が魔法壁を発動しながら言う

「闇の魔法は強力なものばかりだ!皆、油断するな、全力で立ち向かうのだ!」

と、龍神とギルドマスターがいるのにも関わらず部が悪そうだ。

ばってんが悔しそうに言う

「ホントに毎回なんでこんな感じにすごっカラダが地面に押しつけられる、これって重力魔法?!」

みやびもいきなりの攻撃にびっくりしつつも「あわわ!マジックシールド!!」

と皆にシールドを展開するが少し緩和される程度にとどまっている。

そんな中でばってんがまとまの様子がおかしいことに気づく。

まとまはボーッと立ち尽くしている、しかも、重力魔法の影響を受けていないようである。

「まとま?まとま!!!大丈夫??」

まとまに近づきたくても重力魔法でその場を動けない。

まとまの頭の中

黒い球から声がさらに聞こえる

【俺様に魔力を供給してくれていたお礼だ 俺様の名をよべ!!】

ハッとまとまの視点が水の神殿に戻る。

自分の名を呼ぶ、ばってんの声がする。

周りを見渡すと黒いモヤにみんな動けないでいる。

クラインが極大魔法を撃てる段階に入っているのだが撃たないでいる。

水神が悔しそうに言いまとまの異変に気づく。

「うぬぅ〜、ばってんの歌のスキル付与がついておるのに、ろくに動けないだと?!これはマズイ。まとま?!なんじゃその気配は?!」

3

リーベが笑を浮かべたままクラインに向かって言う。

「そこの人間!その極大魔法とやらを撃たんのか?!」

クラインが「女の子に撃つ魔法を我は持ち合わせていないんだよ!!」

一瞬、呆気に取られてたリーベだが

「いったいなにを?!このワタシを女の子扱いだと?!たわけが!

この程度の魔法で動けないのであればここで終わりだ!!」

顔を真っ赤にしたリーベが叫ぶ

「ダークジャベリン・レイン」

リーベが手を振り上げるとその上部に無数の黒い槍が出現した。

水神が水魔法で迎撃しようとする

「まずいぞ!クライン!重力魔法で動きが鈍くなった状況では、この数は全部撃ち落とせん」

クラインが渋いの顔で「くそっ!わかっている!!バーストフレアの範囲を広げてなんとかする!しかしあの魔力量はなんだ!」

水神が「みやび、ばってんわかっているな!そなた達のスキル頼りにしておるぞ!まとまは大丈夫なのか?!」

ばってんは頷いき行動に移す、自身に重力1/2付与をかけ、みやびにシールド2倍付与をかけ、そしてまとまにかけよる。

みやび「いきます!多重マジックシールド!!」

それぞれにみやびのマジックシールドが覆う。

皆にかけられていたグラビティカーテンの効力が極端に下がりほぼ普通に動きがとれるようになる。

リーベが残酷な笑を浮かべ

手を振り下ろす!!!

「くらうがいいっ!!!」

黒い槍が一斉に打ち下ろさせる!!

水神「ウォーターアロー!!!」

クライン「ヴァーストフレア!!!」

水神の水魔法とクラインのバーストフレアがバチバチとリーベの魔法がぶつかり合う!!

ばってんがまとまに駆け寄り、

肩を揺らす。

ボーッと空中を見ていたまとまの焦点がグッとばってんを見つめ「ただいま!!ごめん!お待たせ!ばってんワタシの後ろに!」と早口でいう。

ばってんはサッとまとまの後ろにまわった。

4

まとまがリーベに向かって両手を広げた瞬間に漆黒の黒い球体が出現する

そしてめいいっぱい叫ぶ!!

「君の名前はキバ!!キバくんお願い!力を貸して!!!」

黒い球体(キバ!!!!悪くない気に入ったぞっ!!)

球体から大きさはそのままにツノ、手足がニョキっとさらにヒュッ羽根が生えてちっちゃなお目目がパチクリ。

キバはニヤリと笑みを浮かべ

「美味そうな魔力が広がってんな〜いただきますっ!!」と言うと同時に息を吸うように闇の重力魔法(グラビティ)を吸い込んだ。

そして今度はそのまま大きく息を吸うように無数の闇の槍や水神の魔法、バーストフレアにマジックシールドなどこの空間にあるすべての魔法を飲み込んでしまった。

「ぷはぁ〜うまかった、ごちそうさまでした」と息を吐いて手を合わせた。

その場にいるもの全員が驚いて呆気にとられた。

キバを解放した当の本人のまとままで「はぇ〜」と声を出して驚くしかなかった。

そして、最初に声を出したのはクラインだった「リーベってやつもヤバいがまとま!そいつもさらにヤバいやつだぞ、助かったが、なにもんだっ?!味方なのか?!」皆が思っていることを言った。

1番驚いたのはもちろん魔法でここを崩壊させ、ここにいる者を全滅させるつもり満々だったリーベが口を開く。

「な、なんだと!このチカラは?!覚醒?!貴様!どう言うつもりだっ!同族ではないかしかも、ここ数日前に生まれた闇の者であろう、この辺の生命エネルギーを吸い尽くして、すでに覚醒しているハズのお前がなにをしているのだ!?お前はなんなのだ?!」

キバはそっぽを向きつつ

「なんなのだと言われてもこちとら生まれたばかりでよくわからんが、俺様はキバ様だ!まとまの魔力を吸って覚醒したのだ。生まれてすぐに魔力の供給をしてくれたまとまとは契約が結ばれ、宿主の味方になるのは当たり前だ。」

と、平然とリーベに向かって言う。

リーベはなんとも悔しそうに言う。

「な、なんだこの感覚は人間と契約を結んだ?!だと?!この敗北感。しかも、わが弟なのだぞ。」

と、リーベは頭を抱えて叫ぶ

「ぐぁぁぉぁぁぁあ!!なんだなんなのだ!!許さん許さん!許さんぞ弟よ!!まとまとか言ったなお前は1番許さないからな!覚えていろ!!」

とめちゃくちゃに叫んで、すごい勢いで飛んでいってしまった。

キバ以外みんな何が起こったかわからず、立ち尽くしていた。

みやびが「助かったのかな」と呟くとともにペタンと座り込んだ。

皆、息をするのも忘れていたようで、一斉に一気に息を吐いた。

とりあえず、助かったようだ。

みんな魔力をゴッソリ、キバに持っていかれ、混乱していたが危険がさってホッとしていた。

さぁ、誰に説明してもらえたら、さっきまでの状況がどんなものなのか。

ザクッと説明すると

大林森で闇の者の黒い球体(以降キバ玉と呼ぶ)が土の中に生まれる、、、

まとまが現在地を知るために土の高台をつくるために近くの土をまずゲットした。

そこにキバ玉がありまとまが見つけて異空間ポケットに収納。

キバ玉は周囲の触れるもの生命エネルギーや物質のエネルギーまでも吸収するスキルがあり、大林森の自然やモンスターなどを吸収し尽くし、さらにはミラーレイクの自然や最後には水神の力まで吸収する計画だったらしい。

しかし、まとまのポケットの中は異空間なので触れられるものがない。

唯一触れられるものがそこに流れてくるまとまの魔力だった。

そこでまとまの魔力を吸収するのだが、全部吸収してしまうとまとまが活動できなくなってしまうので常に活動できるギリギリまでを吸収していたのである。

共倒れにならないように共生である。

このギリギリの吸収によりスキル・ナビも休止したことによりナビが機能していなかったのである。

そしてギルドで魔力を測った時もほぼ反応しないくらいの魔力がしか感知できなかったのもそのせいである。

しかし、これは悪いことばかりではなく常にギリギリ吸収されることによって魔力の限界値を底上げする方法でもあるので、当初の元々大きな魔力の最大量はさらに相当上がっていると思われる。

そして、今回、水の神殿にリーベを誘い込むことになったのも、このキバ玉であり、神殿の水をまとまが手に入れる時にポッケを長めに開放してた為にキバ玉の闇の気が外に漏れて、リーベがその気配の存在に気づきこの神殿にきたのだ。

最終的にはこのキバ玉によって助けられただが、キバ玉によってこの騒動になったとも言える。

すべてはまとまがキバ玉を拾ったことから始まったのである。

なににしてもまとまがキバ玉を拾わずにいればもっと大変なことになっていたのかもしれない。

水の神殿にきたのは雨季の水害の対策の話であったが

ここからはリーベなどの闇の者の対策やキバの話などギルドの会議で話すことが山盛りな案件にさすがのクラインも頭を抱えた。

7話終わり 8話へつづく

 

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