【本気で願ったら異世界に来れちゃった件】6話
1節
進む方向に逆らうようにみやびが必死で漕ごうとするがドンドン吸い寄せられて行く。
3人を乗せたボートは湖の真ん中に空いた穴の中に吸い込まれた!
そしてボートは勢いよく落ちて行く!
と、思ったのだかゆっくりと遅めのエレベーターのスピードで降りてゆく。
水の中ではなく空気はある湖に空いた穴から空洞があるようで
降りて行くごとに深海の深い紺色の暗闇が深くなっていったのだが、
ある場所まで到達すると地底に大きな半円球が現れ壁が透明で湖の魚たちを映している
空のような明るいスカイブルーでとても綺麗、
降り立った床は真っ白な大理石のようで光っているようにも見えるとても神聖で神秘的な場所であった。
湖の底にゆっくりボートが床につく。
3人がボートから降りて辺りを見回すとまわりは明るく綺麗な青の世界が広がる。
直接頭の中に声が響く。
「面白い波動が3つ、コレは…今までに感じたことのない波動…面白い。」
まとまが叫ぶ「誰?!ですか?」
驚きの中にちょっと偉い人から話しかけられた感じがしたので途中で敬語に変わる。
声の存在に気がついて振り返った、ばってんが思わず声が漏れるように「ド、ドラゴン?竜がいる。」
ばってんが見てる方向を見てみやびも固まる。
「あわわ、いきなりドラゴン?!もしかして、水神様ですか?」
乗ってきたボートが本当に小さく感じるほど大きな巨体であり、
水竜と見てわかるようなスカイブルーの透明の壁と同じような色に綺麗なグラデーションの鱗がキラキラと光る。
ヒゲやエラ部分の毛が空中なのに水中のようにゆらゆらと揺れている。
水神「なに?我の存在を知ってるとな?我になんの用じゃ?!大概、人間など邪なことを考えておるのじゃろうて、お前達を覗かせてもらうぞよ!見せよ、うぬらの欲望を!」
言い終わると同時に目が光る。
水神と戦闘開始?!
2節
水神の目を見た3人が固まる。
まとま(美味しいものたくさん食べたい!!)
ばってん(歌をいっぱい歌いたい!)
みやび(筋トレしてもっと筋肉つけたい!)
3人の欲望が溢れ出す。
みやびが腕立て伏せのポーズをとったところで
シールドスキルが自動発動する【メンタルシールド】
みやびがハッと自分を取り戻す。
「マズイ、これが発動すると言う事は精神攻撃!!」
まとまを見るとなにやら幻覚を見ているのか「おにぃちゃん!!キャンディありがとぅ!ペロペロペロペロ…」混乱しているのか恥ずかしいセリフを言っている…。
ばってんは目をつむって、胸を手を当て直立不動で立っている。
みやびが水神に向かって叫ぶ!
「やめてください!戦闘の意思はありません!!」
水神「なに?!ワタシの能力を消したのか?!ますます、面白い者たちじゃな…安心しろ、邪心がないか見たいだけじゃ」
と、ふたりの様子を見ていると。
ばってんが息をすーっと吸い込んで、綺麗な声を発する、そしてそのまま歌を歌い出しだした。
それに反応するようにまとまはばってんの隣に立ちハモるように歌い出した。
3節
綺麗な歌声が湖の中に染み渡るように響き渡る。
水神も「ほぉ。」と聞き惚れているようだ。
同じようにみやびも見惚れてしばらく眺めてしまっていた。
歌い終わった時にばってんとまとまの目が合ってふたりとも優しく微笑んだ。
みやびが一生懸命に拍手して2人に近づく。
「ばってんさん!まとまさん!精神攻撃は大丈夫だったんですか?
心配したのですがあまりに素敵だったので聞き惚れてしまいました、すいません。」
ばってんはちょっと恥ずかしそうに
「歌い出してすぐに解けたんだけど、まとまも歌いだしてて、久しぶりに気持ちよくて、最後まで歌いました。」
まとまも興奮気味で「なんか大きなステージで歌ってるみたいで良かったよねーばってんー久しぶりに一緒に歌ったね!」
水神「試すようなことをしてすまなかったな、しかし、このような歌が聴けて良かったぞ。
なにか力が出る歌だな。できたらまた聴かせて欲しい。今回の褒美に3人に水の加護をやろう。
水系統のスキルや魔法が強化されとるはずじゃ」
みやびがスキルの確認をして
「ウォーターシールドにプラス補正が付いてます〜♪」と喜んでいる。
まとまとばってんは今のところ水に関わるものがないのでおいおいプラスになるのかと。
水神が奥の柱に向かって話かける
「こやつらはお主の差しがねであろう、出てきても良いぞ」
声色から今までの感じと違い、明らかに色っぽい声になっている。
4節
柱の後ろからクラインがゆっくり出てくる
「差しがねというか一緒にくる予定だったんだよ、魔法結界を貼り終わって、湖に追いかけてきたんだが、まさか、すでにここにいたとは。まぁ、でも、ばってんとまとまの歌が聴けるなんて思わなかった。感動したぞ。」
どうやら歌の途中から来たのだが、出るタイミングを見計らっていたようだ。
水神が恥ずかしそうにウネウネしながら
「クライン〜なかなか会いに来てくれぬから寂しかったぞぉ〜?」
クラインが頭を掻きながら水神の近づく
「ここんとこ、ホント色々忙しくて、すまねぇ。そんで色々お願いや相談や聞きたいことがあるんで来たんだよ!」
水神は青い顔を赤ウネウネしながら
「用事がなくても会いに来てよいのだぞ?」
誰がみてもわかりやすく水神様はクラインのことが気に入ってる様子。
なるほど水神のお願いにクラインが来た方が話が早いことを3人は悟った。
まとまは「ちょっと怖い感じだった水神様がなんか可愛い感じになってる。」
ばってん「この人はホントいろんな人から好かれてるのな。」
みやび「色々ありますが有難いですねぇ〜」
水神に水害に対する対策とともに、土手を作る事や雨季に入る前に水を多めに貰うことなどの話を取り付けた。
土手を作るのはまとまのスキル・クラフトでつくる。
水を貰うというのはクラフトで使用する材料や資材をスキル・ゲットで異空間ポケットに収納しておくというものである。
クラフトのスキルの性能上、材料がないと使用できないのでまとまの異空間ポケットはかなりの広さを持っている。
そこに湖の水を大量にストックしておくということなのだ。
飲水やいろんなクラフトに必要な水を獲得できるという事でまとまにとっても良い話なのである。
水神が深刻な顔で言う
「水が多すぎて水害になる前に水を減らせるならこちらとしてもいうことはない。
雨季の時期は眠りについてしまう。
妾の力が及ばないところなら尚更でこちらからお願いしたい。」
水神がスキルを見たいというので、水神の横にある噴水の水で試すことに。
まとまが噴水へ近づき両手をかざして「スキル・ゲット!」と唱えると噴水に溜まっていた水が一瞬にして消えた。
水神が「ほぉー」と声を上げて感心していた。「人間のスキルというもの面白いものだな、ばってんの歌声もスキルなのか?今、気がついたのだが皆のステータスのパラメータにプラス補正されておるぞ!もちろん我もな。」
ばってんは意識してスキルを行使していかなかったが付与スキルが発動していたようである。
クラインが嬉しそうに言う。
「おぉ?!魔法結界の作業でゴッソリ持っていかれた魔力が回復していってるぞ!これはありがたい!!」
みんなワイワイと思い思いに話して、ほっこりしていたのだが。
次の瞬間。
水神とクラインの顔が急に険しくなる。
水神が「クライン!!」と叫ぶ
クラインが凄んだ声で言う「とんでもない魔力量のヤツがここに来る!」
7話へとつづく。